CHIVA・SOMの休日
この2年の間にすっかりタイが好きになった。以前から、東洋と西洋との融合を取り入れたインテリアデザインをしたり、ファッションの仕事で関わったりと、同じアジア人としてこの国の文化にはとても興味があった。
たまたまタイに詳しい友人のアドバイスでバンコックにはよく行くようになったが、チバソムに泊まるのは今回が初めて。ホアヒンにあるこのヘルス・アンド・リゾートホテルは知る人ぞ知るホテルである。チバソムの意味は、“Haven of Life / 安らぎの隠れ家”を意味する。
このところスポーツクラブに行く時間もなく、ストレスはもっぱら美味しい食事で解消。そうするとみるみる太り、姿勢も悪くなり、洋服も一つ上のサイズが心地よくなってしまう。これはまずいと思い立って一人旅を決意。
タイには集中して何回か訪れたので、一人旅も快適にエンジョイできるようになった。まして今回のタイの旅は買い物や食べることよりも、自分の健康管理と静かに自分を見つめることが目的であったからだ。ショッキングピンクのブーゲンビリアや見事な蓮の花、蘭の花に囲まれた真っ白なホテルに到着したのは夕方近くで、夕日がとても美しく、建物は落ち着いた陽射しを浴びて、まるで夢のような静かな雰囲気だった。
チバソムはタイの元副首相ブーンチュ・ロジャナスティン氏の考えの元に生まれた、アジアで最初のスパ・リゾートである。イギリス、フランスのヘルスレジャーのコンサルタントによって企画されたもので、国際的水準を目指すために、ヘルス、レジャー、フードのそれぞれの専門家の手で運営されている。設計は、英国のスパ・リゾート建築で著名な建築家ジャンポール・ブリセット氏で、モダンでありながらタイの美しいモチーフを細部に施した素晴らしい空間。ロビーから少し離れた東屋風のラウンジでチェックインし、カートに乗って、パビリオンに向かう。何か夢を見ているような爽やかな空間。ホテルはルーム形式とパビリオンと両方ある。20坪ほどのパビリオンはダークな色合いの木材と白壁、その白が何となく翡翠色の入ったような白。ベットカバーの翡翠色の反射かも知れない。そこにぺリウィンクルブルーとパープルの色がミックスされたような色のガラス窓が、扉の横やバスルームの光が当たるところに絵の様にデザインされている。とても心が洗われる色彩である。アクアブルーのタイルの床はまるでカーペットのようにデザインされている。タイルデザインの面白さに感激。この細部の色使いやデザインは、レストランやホールに何度も繰り返し使われ、インテリアデザインのルールの面白さを知ることができる。
シャワーを浴びホっとしていると、ヘルスコンサルティングのための迎いのカートが来た。滞在中の目的に合わせて毎日のヘルスメニューを問診しながら考える。初めての方は、数えられないぐらいのメニューの内容をこの時までに知っておくと便利。全館の施設を案内してもらい全体像を知っておくことも必要だ。滞在中のマナー等も考慮すべきである。
私の目的は、体重を減らす事とストレスマネージメント、それに全てのコンサルティングをどのように進めるかを見ることである。早速、旅の疲れと汚れを取る為オイル・マッサージを頼む。ディナーは8時にシーサイドのオープンレストランに予約。もともと性格がボーっとしているようでせわしない性分で、コンサルティングの予約も朝早くから夕方までぎっしり入れてしまった。オイルマッサージに行く時は、自分の部屋にあるガウンで、しかもノーメイクアップでよい。1人のお客様に対して4人の従業員のサービスという。至れり尽くせりの優しいサービスのおかげで何の苦労もなしにすんなりエンジョイできる。マッサージルームの個室に入るまでタイのイメージをたっぷり入れたモダンインテリアを楽しむ事ができる。マッサージのベットにうつ伏せになると、顔の部分が開いて床が見えるのだが、そこには大きな浅い器に蓮の花が10輪ほど水に浮いている。こんなサプライズがとても嬉しい。むくんだ足もすっきりして、明日のためのトレーニングウエアを買う。ちょっとぴったりしたものを買ってしまったが細くなる為にはこれが似合わなくてはならない。今回水着だけしか持っていかなかったが、次回はトレーニングウエアとシューズが必要になりそうだ。ゴルフクラブもあれば楽しい。
前回タイに来た時にオリエンタルホテルのブティックで作ったローヤルブルーのオリエンタルジャケットにタイシルクのパンツを着て食事にいった。雰囲気にあった洋服が必要になる。決してストッキングを履いてスーツを着たり宝石をジャラジャラと付けたりはしない。夜の深いディープなブルー、グリーン、パープル、オレンジ、ブラウン、ショッキングピンク、ホワイトが浮き立つ様に照明のライトアップが素晴らしい。照明がプールサイドに美しく映り、昨日までのストレスはとっくに忘れてしまっている。白い砂の海にはいか釣りの船が何艘も緑のランプをつけて浮んでいる。一番暑い夏の風でも心地よい。
ここのマネジャーにメニューについて聞く。メインに選んだのはローカロリーのサラダディッシュ。タイの唐辛子や香草たっぷりのドレッシングは、プレーンなサラダにメリハリがつく。訪れている人はある程度経験豊かな夫婦や仕事から離れてきているビジネスマンやビジネスウーマン、1人でリラックスする人も何人かいらして、毎日のヨガや運動を通じて仲良くなり、一緒に食事をとる人もいる。どちらかと言うとヨーロッパ、アメリカ人が多い。
次の日の朝、6時のヨガに参加する予定がぐっすり寝てしまい、6時に虫の音で目が覚めた。何と優雅な事でしょう!朝食はロビーの上2階のレストラン。コバルトブルーに壁面は塗られ食欲減退と気持ちが落ち着く色としてこの色を選択したそうだ。お花一杯に囲まれた朝のブッフェはフルーツが何種類もあり、ジュースも全てカロリー表示が書かれ、野菜や実の物が豊富。ヨーグルトやパンケーキもカロリー制限されている。でも盛りつけの美しさは決して忘れない。毎日朝、昼、晩の花やサービスする人たちのユニフォームの色や形が違うのも、見ている人たちの心を和ませ、楽しませる事ができる。ガウンやスポーツウエアのまま、自宅のようにゆっくり新聞を読んでいる。お休みとはいえ、しっかり情報を得ているのも素敵。また、違う国から来た人達が仕事の話をしたり趣味の話をしたりと大人の休日。
身体の中のクリーニングをするつもりで、ほとんどノンオイルとノンシュガーは辛かったでしょう?と帰ってから友人に言われたけれど、私はそれにすぐ慣れ、気持ちがよかった。逆に東京に帰ってきて美味しいと思っていた食事がヘビー過ぎたり味が濃すぎたり、油こくて、うんざりするばかり。どんどん肌も元気に蘇り、身体の老廃物もマッサージや運動、食べ物でみるみる鏡を見る度に変わっていく。このような所が東京にあったらと思う。ここでの食事や環境、考え方の癖を忘れない内に、毎日の生活やマイ・スペースの河口湖の家で反映したいと思っている。チバソムで感じた事や体験は何ぺージでも書くことができるが、この先は又の機会にお話したい。
自己管理は大切なこと。あなたも一度静かに自分を見つめる時間を取って見ませんか?ここは、インテリア、プライス、フード、サービス全てのバランスがよく、明日にでも訪れたい安らぎの隠れ家である。