West Coast in U.S.A.

毎年アメリカに行くわりにNew Yorkばかりで西海岸は訪れる機会がなかなかなかったのだが、久しぶりに行くことになった。サンフランシスコ、LA、ラスヴェガスの3市を訪れたが、今回はLAについてお話しよう。

LAでのステイ先は友人絶対のお勧めのThe Peninsula Beverly Hills。このホテルは南カリフォルニアでは唯一の5つ星ホテルだそう。24時間何時でもチェックイン&チェックアウトができるというユニークなサービスのあるホテルだ。玄関を入ると大小様々なガラスの器にピンクのバラや紫陽花がふんだんに活け込まれていて、ベージュ系とソフトなパステルカラーでまとめられたインテリアはとてもエレガントで心地よく、旅の疲れも瞬く間に消えてゆく。玄関のつきあたりにはThe Living Roomというラウンジがあり、2つの暖炉を大きくて座り心地よさそうなソファが囲んでいて、まさに優雅なアメリカの家のリビングルームのような空間。白い窓枠の間からは生い茂ったアイビーやツルバラが見え隠れし、ハープの演奏が流れるなかで、ぺニンシュラならではの優雅なティータイムを楽しめる。

お部屋は山積みになったネクタリンの甘い香りで満ちていて、ウエルカムドリンクのナパ・ヴァレーのワインとプチ・フルール(小菓子)が用意されていた。お菓子はお寿司の台のようなまな板状の器に盛られていて、その台は特注品のようなのでなんだか可笑しく日本ブームなのが伺い知れる。夕食をメインダイニングのThe Belvedere でいただいた。こちらは最近” Best Hotel Restaurant in the Continental US and Canada”にTravel+Leisure magazineで選ばれたモダン・アメリカン料理のレストラン。メニューを見るとTofu、Sashimi、Shimeji Mushroom、Wasabi、JapaneseCucumberやPeking Duckなどといった単語があちこちにちりばめられていて、デザートは先程のまな板皿に載せられているものもあり、やはり日本やアジアにインスパイアされた構成だ。

このホテルにはPen Air Meals To Goというサービスがあり、LAを発つ朝、オーダーしてみた。“Pen Air”と白文字で描かれた黒い保冷用のバッグにモリモリアメリカンサイズのB.L.T. Sandwich とヘルシーなTurkey Sandwichがハインツのマスタードやマヨネーズ(ミニチュアだけれど各自1本ずつ)、ポテトチップス、ミネラル・ウォーターと共に入っていて、早朝からの移動で不機嫌になりがちな朝もちょっとしたことでウキウキ!楽しみ一杯の時間に変身する。

久々のロデオ・ドライブでのウィンドウ・ショッピング。昔ロデオ・ドライブのRalph Laurenのお店に初めて行ったときは、そのスケールの大きさに感激したが、今では表参道の新店のほうが大きいらしい。どのお店も日本への外資ブランドの盛んな参入のおかげで、東京やアジア諸国で見るファッションブランドのフラッグショップとあまり変わった感じではないというのが正直な印象。ブランドイメージを保つといった点では目的を達成しているのだろうが、どこの国でも同じではちょっとつまらない気もする。

でも、花が一杯にあふれる華やかな通りを興味にまかせてぶらぶらと見て歩いたり、LAらしいフレンドリーなショップ・スタッフとやりとりしながらのショッピングは別の意味でとても楽しい。こちらは陽射しは強いけれど、空気がカラっとしているので買い物がしやすい。(危険!)そんな気候も手伝ってか、LAの女性たちはとてもカジュアルでセクシーな装い。今年はベアトップのワンピースやトップが流行っているようで、気温は東京より低くて肌寒いから、なにか羽織らなくてはいられないと思うようなレストランでも、平然とスリップドレス一枚でお食事している。セーターや袖のある服を着ているのは60歳以上のおばさまたちくらい。女性なら結構な年齢でも肌見せ/キラキラ/パステルorブライトカラーは当たり前。

女をアピールする気合いがNY、まして東京とは全く違う。ハリウッドが近いため、レッドカーペットを歩く女優達の影響がとても大きいのだ。だいたいロデオ・ドライブの全てのブティックが18:00に閉まってしまうということは皆帰宅してきっちりドレスアップして夕食に出かけるというライフスタイルがあるからだろう。アフターファイブにショッピングする人のために21:00まで営業しているNYや東京とはライフスタイルがちょっと違う。ここで買い物する人達は時間に拘束されない人達なのだ。

ロデオから少し離れた、カジュアルでトレンディなブティックが立ち並ぶ通りに、突然人が歩道まで溢れている、白い柵で囲まれた蔦の絡まるレンガ造りの一軒家が現れる。店内はファッショナブルな女性たち、仲のよいお洒落なカップルや母娘でいっぱい。河口湖の別荘にあるのにそっくりなキャビネットやお皿がある、母も好きそうな居心地のよい、お庭でとれたハーブやバラ、スイトピー、ひまわりといった花々が溢れるアメリカン&イタリアン?料理のレストラン。白いパラソルに木陰が透けて、美しいレース模様のように見える。

外のテラスで燦々と射す陽射しと色とりどりの草花や手作りのクッションに囲まれ、サラダやパスタ、デザートを頬ばる。バースディ・パーティがあるのか、生花を飾ったケーキを2つオーダーしていた母娘がいたが、そのテイクアウトのボックスもピンクでかわいい!旅の楽しみの半分以上はお食事だが、健康や体型も気になってくる年齢。アメリカは1品のボリュームが大きく、1人1つ頼むと大変なことになってしまうことがあるので、見てみたくても頼めなかったり、いろいろなジレンマがある。

それでも悩んだわりには色々試していたらしく、撮った写真を見たら食べ物ばかり!牛肉はお腹で消費するのに非常に時間がかかるので健康に良くない、と出かけ際に読んだばかりだが、へたに魚料理を頼むより、多少大味であっても肉料理を頼んだ方がアメリカでは美味しいことが多いようだ。ずっと居たらすぐに体重オーバーになりそうだが、住んでいる人達はきっとかなり気にして生活しているのだろう。

そのせいかPeninsula Beverly HillsのSpaはお客様の需要が多く、手狭になったために、今年の3月に約700万ドルをかけて改装されたばかり。 Conde Nast Traveler誌で、アメリカの都会のSpaとして、サービスで#1、トリートメントでは#2と評価されている。最近のSpaによくあるダーク系の木材を使用したデザインではなく、明るいLAらしく、ライムストーン、クリアガラスやモザイク仕上げのタイル等を使用し、フランス製のスカイブルーのファブリックと純白のカルカッタ大理石のコントラストが美しい、清潔感とリフレッシュ感あふれるインテリア。トリートメントのメニューもなかなか充実していて、併設されているThe Roof Garden で星空を見上げながらカップルで受けられるアロマトリートメントなど、ユニークで楽しいメニューもある。プールサイドではヘルスコンシャスなスパメニューやハーブティーなどのブレックファスト、ランチがテントの中で楽しめる。ホテルステイの楽しみ方をこれでもかと様々な形で提供してくれる。

ひとくちにWest Coastといってもそれぞれの街で個性が全く違う。お話したい面白かったことはまだまだたくさんあるが、ここではご紹介しきれないので、残りはダイアリーやデザートセミナーやそのほかのセミナーの時にお話していきますね!

Written by Reiko Sugawara